「青色申告のことがよくわからない!」という個人事業主の方のために、青色申告についての解説をいたします。
個人事業主は会社員のように定額給料制ではないので、税金を支払うための「所得」は、年末に収支を計算するまではわからないのです。つまり個人事業主の所得の計算は以下のように計算されるんですね。
つまり、「売上」と「経費」を日々帳簿につけて管理し、年末に帳簿を締めて、いくら「利益」が出たかを計算すること。そのうえで所得を申告し所得税を支払います。つまり自分で法人のように「決算」を行うのです。そしてこの申告による所得額によって住民税や健康保険料も決定されます。
所得税の申告方法には、「白色申告」と「青色申告」 の2種類があります。
白色申告とは
「白色申告」は日常の記帳義務がないため、簡便な方法として用いられます。 事業規模が小さく、お金の出入りが複雑でない場合は、もともと帳簿をつける必要性が薄いため、手軽な白色でもいいでしょう。
【白色申告の特徴】
1) 記帳する場合も単式簿記という簡単な方法でOK。
※ ただし、前々年分、前年分の事業所得が300万円を超える場合は記帳義務がありますからご注意ください。
青色申告とは
「青色申告」は日常の記帳をしっかり行うことで税法上のいろいろなメリットが受けられる申告方法です。
【青色申告の特徴】
1)メリットはなんと40以上。詳しくは「青色申告のメリット」へ
2)青色申告するためには、その年の3/15まで、または開業後2ヶ月以内に青色申告承認申請書を税務署に提出することが必要。
(期限が過ぎてしまった人の今年度の申告は「白色」になってしまいます。)
3)簡易的な記帳で10万円控除を受けられるもの(青10)と複式簿記での記帳というチョッと水準の高い記帳を行うことによって、65万円の控除が受けられるもの(青65)とに分かれています*1。
*1:青色申告特別控除額には、帳簿の種類や提出書類の有無によって、10万円、45万円、55万円の3通りがありましたが、平成17年分の申告からは、税制改正により10万円と65万円の2通りになります。今まで簡易簿記によって45万円の適用を受けていた方は、控除額が10万円となりますのでご注意下さい。
比較対象 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
節税効果 | 高い | 低い |
煩雑さ | 複雑、面倒 | 簡単 |
節税メリット | 多い | 少ない |
開業時の届け出 | 青色申告承認 申請書を提出 |
届け出は不要 |
記帳方法 | 正規の簿記(複式簿記)で記帳 | 規定なし |
申告時のメリット | 特別控除等のメリットがある | メリットはない |
売り上げが1,600万円の場合で「青色申告」「白色申告」それぞれの場合の課税所得を比較してみました。
なんと、所得税だけで15万6800円のちがいがでます。
さらに、この所得をもとにして課税される住民税や健康保険料の金額にも差が出てくることになります。また、事業所得が290万円以上になると「事業税」も納める必要が出てきます。
青色申告のメリット>>
個人事業主が給与所得者と違うのは皆さんの所得に対し税務調査があるということです。特に白色申告だから青色申告だからといって、税務署員の態度が変わるわけではないのですが、法律上、税務調査時の対応に差が設けられているのは事実ですよ。
たとえば、税務調査の結果、どうも不正があるようだとなった場合、青色申告では帳簿調査などに基づかない、根拠のない推測による課税処分を受けることはありませんが、白色申告を選択している場合は、同業他社との比較などの推測によって「このくらい所得があったのではないか」というかたちで課税処分される場合があります。
「推測で課税されるなんてたまらない」と思うでしょうが実際に起こりうることです。ですので、青色申告をしておくことをお勧めします。
青色申告のメリット>>